雑記
太宰の人間失格の映画、未だに観ていない。
理由は、予告編と観た人の感想を聞く限り、太宰が太宰をしていない様だから、である。
ぼくの中での太宰は、どこまでも自尊心が低くて、どこまでも自己肯定が出来ず(金と賞の話となるとその限りでは無い)、どこまでも人間的な人である。
観た人は口を揃えて「作中の彼は少なくとも自尊心が高い」と言う。
これは如何、と思いながら未だに観ていない。
すきなのだから観たいが、すきなので観たく無いのである。
蜷川サンらしさはあるらしいのですきな人はすきなのだろうけれども、別にそういう訳では無いので、足を運ぶ気にならぬ。
ちなみに、作品には人それぞれの見方が有るし、無ければならぬと思うので、批判する気も嘲笑する気も無い。純粋にさういう気分な丈である。
食わず嫌いして批評する人は眉唾であると思うけれど、実際その縁をウロウロしている。嫌な人間。
再度の言及ではあるが、ぼくの中での太宰はとても人間的なのである。トカトントンとか女生徒とか浪漫燈篭とか、言ってしまえば日常のどうでもいいことを事細かに他人に伝えられるところが、すきなのだ。
そして、自分の自伝的作品に生まれてすみませんと書いてしまうような、書きのけてしまうような、底の無い自尊心の低さもすきなのだ。
洗いざらい胸の内を吐ける人はきっと強いのだ。
ここまで書いたけれど、酔ったので寝ます。おやすみなさい、良い夜を。