雑記

あなたの中身は何ですか?

 

溌剌としたひとは、そこに居たもの皆に聞いた。

 

あるひとは今まで見聞きしてきたものだと答え、またあるひとは趣味だとかそんなものだと答えた。

 

ぼくの番が回ってきた。

てんで思いつかないし、皆目検討もつかない。それを悟られたくない羞恥心じみたものを隠すために、作り笑いでかわそうとした。

 

難しいですよね、と、ただ一言だけ返された。

 

 

ぼくの中身は何なのだろうか、不意にぶつけられたそんな疑問が堂々巡りする。

 

実際わからないものはわからないのだが、どうも他の人たちは何かしらの答えがあるらしい。

 

ぼくの中身は何なのだろうか。読んできた本か、聴いてきた音楽か、耳を傾けてきた話か、将又身につけた何かしらの技術か。それとも空っぽなのか。

 

じぶんの実感としては空っぽに近い、あるいは空虚そのものであるがする。

 

外面ばかりうまく見せようとしてきた。ある時はそれでうまくいったし、ある時はそのせいで失敗した。

所詮ハリボテ、ただの騙しなのだ。騙せた時は何ともなく相手は素通りしてくれるけれども、それが騙しだと相手が理解した途端、呆れられ敬遠され嫌悪され、必要十分を超える程見返りが来るのである。

しかもそれは只々じぶんの所為である。ぐうの音も出ない程、すみませんと思うしかないのである。

 

あなたの中身はなんですか、ぼくの中身はなんですか、そもそも中身とは何なのでしょう。