ずれたままで行った、帰り道は知らない。
ぷらぷらと歩いていた、夜半。
左ポケットの中で揺れるウォークマンからは、今日も同じ音楽が流れている。
誰が、何をーーー
陽が出ている間は人間が居る、そういう類の場所に限って夜は静かだ。
暗がりの中、半日前まで確かに其処に有った生活の一部が顔を覗かせる。「普通」ではない場所にある「普通」は、却って薄気味悪い。
然りとて、人が居ればその気味悪さは解消される、という訳でもない。
すっかり陽が落ちてからも、この道を過ぎて往く車の波は止まらない。確かに其処に人は居る。
しかし、其処から人間の”生”のような部分は感じられない。冷たい塊がただ轟々と動いているのみである。
とか、ふわふわとよくわからないもの思いをしながら仕事先から帰るのが、ここ暫くの常である。
その如何は知る所ではないが、次からはカメラでも持って歩こうか、そんな心持ちである。
ー覚書ー