2018-02-10 前髪 すっかり陽が落ちた道路で車を走らせる。 眼の前をちらちらと、伸びた前髪が揺れる。邪魔だが、此れでいい。 其の時分の私にとって、伸ばした髪は内面の象徴の様な物で、漠然としながらも価値の在る物であった。 サービスエリアで買った温かいコーヒーはもう冷めてしまった。口に含む。喉元を通り過ぎる其れは、何処か寂しく、然し乍ら幾分清々しい。 今日は家で、飯を作り、温い部屋で、飽きる迄眠ろう。 九州自動車道の道半ばで、不図思った。