早く帰ろと袖を引く

頭の中で爆音で音楽が鳴ってるから何もできねえよ、というここしばらく。

 

集中力の欠如だとか単にやる気がないだけだと喝破されてもええそうですねとしか言えぬのだが、実際そうなのだから仕方がない。

 

およそ太宰のトカトントンみたく、最近何をするにも常に頭の中で音楽が流れ、全く集中できない。本を開いたらトカトントン、勉強しようと思い立ったらトカトントン、洗濯をと思えばトカトントン、食事中にもトカトントン

眠ろうと睡眠薬を飲んでもトカトントン。トントントカトン、トカトントンと頭の中を音楽が支配する。さながらクラークの描くオーヴァーロード。圧倒的支配力にぼくは何も出来ずにいるのである。

 

いやはや本当に、常に流れている。他の人はどうなのだろう、はてぼくは少しばかり危ういのではないかと憂慮するほど流れているのだ。今、この文章を書きながらも頭の中では泰葉がフライデーチャイナタウンを歌っている。まあお歌が上手いこと。

 

これの解決法はないのだろうか。別に好みの音楽が流れている訳であるから嫌悪とか忌避感はないのだが、さすがに物事に真直ぐ取り組めないのはさて困り物である。

そしてここが一番難しいところでもある。すきな音楽など忘れようがないし、思わず口ずさみもすれば気づけば頭の中で歌っていたりもする。けれども行き過ぎると参りものになるのだ。この塩梅をうまくつけるのがぼくは不得手らしい。

 

そういえばいつかのアーティストが音楽とは呪縛だと語っていたが、今それを身に染みて感じている。完全に脳を鎖で縛り付けられているような、そんな感覚。身動きは取れるのだが思考だけ持って行かれているような、もしくは無理やり無思考化されているような感覚。

 

そんなこんなで、ここまで頭の中を整理しながら文章を書いてきた訳であるが、やっと名案が浮かんだ、と思ったらトカトントン。今度はPoliceのMessage in a bottleだった。そりゃあ誰かにS.O.S.の一つでも送りたくなるわな、と思いつつ。

 

今は午後3時過ぎ。夜は何にしようかと考えていたらハンバートハンバートのお家に帰りたいが流れてきた。いかにもすぎて溜飲が出る。

 

ぼくだって可能であるなら、今すぐごめんと謝ってお家に帰りたい。久しく人の手料理を食べていないので母の晩御飯を食べたいな、と思った。